顔の外傷

 

顔の外傷は、挫創などで皮膚欠損になることが多く、しかも子供に多い。顔面は特に創傷被覆材の威力を発揮する場所であり、最近、擦過創の患者さんを経験したので提示する。

 

患者さんは3歳、男児。兄弟げんかをして左頬部を兄に殴られ受傷し2日後に来院した。左頬部に1.0*0.3cmと0.3*0.3cm2か所の挫創を認め、創は乾燥してかさぶた(痂皮)になっていた(画像1)。さわると痛みがあるらしく、異物の混入はなさそうであり、そのままハイドロコロイド(デュオアクティブET)を創の大きさに切って貼った(画像2)。このままの状態で入浴も可能であり生活する上での制限はしなかった。当然、内服薬は処方しなかった。

画像1


画像2


2日後に来院してもらった。創の部分の被覆材の色が白色になっているのがわかる(画像3)。水分を吸収してゲル化している。創は縮小しており痛みもない(画像4)。ここで再びハイドロコロイドを貼った。


画像3

画像4

4日後。小さい方の創は完全に上皮化した。大きい方もかなり上皮化が進んでいる(画像5)。この時点で、皮膚炎はおこしていないものの、掻痒感を自覚したため、被覆材をやめて白色ワセリンのみにした(画像6)。あとは母親に白色ワセリンを塗ってもらうようにして通院は終了した。


画像5

画像6

通院回数は全部で3回のみである。被覆材は、ずっと貼りっぱなしにした。これから夏の暑い時期は、被覆材の交換は毎日の方がいいかもしれないが、通常は2−3日の貼りっぱなしで問題はない。浸出液が多ければ、その都度、交換すればいいだけの話だ。

最終更新日:2005.04.16