熱傷2

1歳、男児。平成21年7月5日、右上腕から右前腕まで(右手と顔面はごく一部)熱傷を受傷した。救急車で総合病院に搬送、入院での治療となり点滴と軟膏治療を受けた。その後、主治医から「皮膚移植が100%必要」と言われ、両親が悩んだ末、石岡第一病院の夏井先生にメールで相談、当院を紹介され電話とメールでの相談の後に7月11日に来院した。

 画像1   画像2  画像3


熱傷は右前腕屈側から尺側(画像1、2)と右上腕(画像3)に認め、2度(真皮まで)と判断した。右上腕の一部(2×2cm以内)は3度(皮下組織まで)の疑いがあるかもしれないが2度かもしれないと判断した。おそらく前医では、トレックスガーゼと軟膏で処置していたと思われ、取る時に出血した。

プラスチベース(白色ワセリンとほぼ同じもの)とプラスモイストVを使った湿潤療法で治療する方針とした。

この時点で基本的に2度熱傷であり、また全身状態も良好であるため、十分、外来通院で治療が可能なこと、入浴も可能で両親にプラスチベースの塗布とプラスモイストを交換してもらうことを説明し、もし発熱や疼痛の増強など変化があったら来院してもらうこととした。抗生剤や消炎鎮痛剤の投与は行わなかった。



平成21年7月13日

7月12日のみ自宅で創処置をしてもらった。出血はなく痛みもなかったらしい。もちろん、発熱もなかった。


平成21年7月17日

創の状態は良好で順調に上皮化が進んでいる。入浴はしていないがシャワーを使用している。保育園に行くのも可能とした。



平成21年7月21日

 画像4   画像5

さらに上皮化が進み、右上腕の一部(画像4)を残して、ほぼ上皮化した(画像5)。


平成21年7月25日、全て上皮化したので通院を終了した。結局、全て2度熱傷だったと判断した。


なお、治療の全期間を通じて装具などは使用せず、自由に動かすようにしていた。



平成22年5月4日にお父さんが撮影した写真をメールでいただいた(画像6、7、8)。

   
 画像6   画像7  画像8


右上腕に発赤の部分を認める(画像6、8)が、ひきつれはなく肘関節も自由に動く状態で、生活に不自由さは全くないという。現在は、受診時と違って仕事の都合で遠方で生活している。



最後にお父さんはメールで、こうおっしゃっていた。


是非この写真をご活用いただき、1人でも多くの方にこの治療方法を知っていただき、無意味な皮膚移植をせずに済む方が1人でも多く増えることにお役立ていただければと思います。

最終更新日:2010.05.08