頭の外傷

頭の外傷は、皮膚欠損創になることは少ないが、比較的多い外傷である。しかも子供に多く縫合に難渋することもある。今回は3歳、男児の挫創を経験したので提示する。

 

患者さんは3歳、男児。家の中でふざけていて階段ですべって後頭部をぶつけて受傷し来院した。受傷時の写真がないが、後頭部に1.5*0.3cmの挫創を認め、創はひらいて出血していた。母親が周囲の毛髪を切除して来院した。もともと坊主頭であり、毛髪を寄せてノベクタンスプレーで固める方法は不可能と判断した。聞き分けはよさそうであったため、局所麻酔(針は27Gを使用)を行い、6−0ナイロンで縫合した。青い糸がやや見えにくいが2針縫合してある(画像1、2)。泣かずに終了した(画像3)。


画像1

画像2

画像3

この後は、ガーゼも何もあてずにそのままにしておいた。これまでであれば、ガーゼをあてて包帯でぐるぐる巻きにしたであろう。本当にこのままオープン。次の日からの入浴、洗髪は可能にした。

 

4日目。創の状態も良好で抜糸とした。若干、痂皮(かさぶた)が出来たが、これくらいは仕方がないだろう(画像4)。これも泣かずに終了(画像5)。


画像4

画像5

当然、経過中は消毒はせず抗生剤も使用していない。

 

この患者さんではできなかったが、小さい子供さんの場合、毛髪が多ければ圧迫止血後に毛髪を創の垂直方向に引っぱって、毛髪をノベクタンスプレーで固める方法が有用である。また、頭部は局麻後のskin staplerも簡便である。基本的に縫合を行う場合でも剃毛は不要である。

最終更新日:2005.02.26